キノコとは、大型化する子実体をもつ菌類の総称です。子実体をつくらない菌類はカビと呼ばれます。
キノコは土壌または枯死した植物体、ときに生存している植物体や昆虫などに菌糸を下ろし、成長します。その見た目から、つい半世紀ほど前まで分類学上の扱いも植物となっていました。
その勘違いの要因の一つに、植物の中にも光合成能力がなく、植物体全体が白色や黄色、褐色のものが存在します。
これらの植物は、菌従属栄養植物や全寄生植物と呼ばれ、光合成ができない代わりに、土壌の菌類や宿主植物が生産した養分を利用して生活しています。
動植物の階層的な分類を初めて踏み出したのは、スウェーデンの博物学者であり生物学者でもあるカール・フォン・リンネという人物です。
このリンネが提唱した生物の分類方法はリンネ式階層分類体系と呼ばれ、提唱から約250年が経過した現代でも少しずつ内容を変えながら使われ続けています。
リンネの生きた1700年代には、菌類というカテゴリーがなく、形がはっきりと見えるキノコは植物として扱われていました。
リンネ式階層分類体系のもっとも大きなグループは「界」と呼ばれますが、リンネがつくった体系には「植物界」と「動物界」の2つの界しかなく、これを「二界説」と呼びます。
その後、1900年代の前半までキノコをはじめとする菌類は植物界に含まれたままになっていました。
1959年に界を5つに分ける「五界説」が提唱され、このとき初めて「植物界」と「菌界」が分けられました。このように、植物とキノコは、長年同じグループに属する生物として扱われてきたのです。
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